「農」という循環の暮らし


<農 -cultivation->

豆に暮らす野の暮らし研究所

「農」という循環の暮らし

 

 

 
 豆に暮らす野の暮らし研究所」から「循環農法野菜セット」が我が家にも届きました。紫芋、じゃがいも、冬瓜、緑なす、丸オクラ、きゅうり、白皮砂糖かぼちゃ、オクラ(スターオブデビット)、ピーマン、バジルの10品種。 どの野菜もどっしりとして生き生き。
 

 
 豊橋市出身の豆野さんは22歳の頃に自分がしたいことを考える中で、自給自足の「農業」を知りたいと思い、田原市内で自然農法の研修を経て翌年に2011年に独立し、奥さんの聡子さんと共に農薬や化学肥料を使用しない有機農業の農家、「豆に暮らす野の暮らし研究所」を営んでいます。
 現在、循環農法で固定種、在来種の野菜、米、果物を栽培し、また平飼いによる鶏を約80羽ほど飼育しています。 豆野さんは、「4つのE」、「Ethical (社会的倫理のための)、Ecological(生態学的にに良い)、Eternal(永続的な)、Earth-Friendly(地球に優しい)」を農業の行動基準に置いているとのこと。

循環農法とは、人・動物・糞尿・微生物・土・植物が循環しながら互いの存在を肯定する農法であり、その輪には「ゴミ」というものはありません。 そしてまたそれは、人にとって暮らしそのものだと感じます。 農業と自然環境の両立を考える上で大事なのは「人」だと、豆野さんは話します。 身近な人を尊重し、大事に思うその循環に、環境への意識や美味しい食べ物が自然にあるということ。
 
 取材を終え、数日後に届いた目が覚めるようなとびきり美味しい野菜を料理し、いただくうちに、「循環」という視点で私自身の生活を度々振り返るようになりました。 自分はどんな循環の中で、周りに何が出来ているのだろうか、未来に私は何を残したいのだろうか、と。

2018年に施行された種子法廃止により、「種」を巡る世界情勢が大きく変化しようとしています。 固定種、在来種の作物を育てる農家の多くが危機感を感じている中で、先ずは種のことを知り、繋いだ種から食べ物が作られることの大切さを学ぶことから。

農作業の様子はもちろん、WWOOFホストとして世界各地からのウーファーを受け入れたり、採れた作物で作る料理など、豆野さんの暮らしの日常は、開催する食育ワークショップやホームページのブログなどで発信されています。
 

 

豆に暮らす野の暮らし研究所
〒441-3503 愛知県田原市若見町土手の内43
TEL090-1533-0413(豆野)
ホームページ
◼︎「循環農法野菜セット」の詳細はホームページまで。 

 
 

秋田 – 人情がつなぐ郷土・人・伝統文化-


<渥美半島から、旅へ>
秋田
– 人情がつなぐ郷土・人・伝統文化-
 

 
「一年の5ヶ月が雪に埋もれる雪国秋田。ぶ厚く白い雲に覆われた田畑、野山の動物は眠る。」
柳田国男「雪国の民族」より

 
 
西馬音内の盆踊り
 
 
友人を訪ねて秋田へ旅をしたのはお盆の頃。
 「日本一美しい」 と聞き、以前から観てみたかった秋田県羽後町西馬音内で行われる盆踊りに訪れました。会場に着いた時はちょうど、櫓の上で寄せ太鼓と囃子が奏でられ、踊りの舞台となる通りには篝火が灯されたところでした。 やがて歌が加わり、踊りが始まると一気に幻想的で妖艶な光景に魅了されてしまいました。 約700年前に始まったとされ、「亡者踊り」とも呼ばれるこの踊りは、その象徴とも言えるのが半月型の編笠と、彦三頭巾で顔を隠して踊る姿。 美しい指先の動き、身に纏う「端縫い」と藍染の着物が艶やかさとなり、見る者の心を捉えます。 一時は弾圧などの理由で衰えた頃もあったようですが、地元の人たちの熱意でこれまで盛んに行われているとのこと。

この「西馬音内の盆踊り」の他にも「竿灯祭り」、「なまはげ」や「かまくら」 などの四季折々の祭りと年中行事、伝統芸能が秋田県には多く残り、その豊富さと特殊性は重要無形文化財として16件も登録される(全国1位)など、他の県と比べても飛び抜けています。
 
これほどまでに多様で多くの伝統が残されている理由には、どんな背景があるのでしょうか。それは、「共同体の結束」 として、集落での助け合いの意識を守るためではないかと言われています。 雪国という厳しい環境の中で、人々は助け合い、団結する心が自然に求められました。 雪掻きの経験もなく、雪は年に一度降るか降らぬかの温暖な渥美半島に暮らす私には、雪国の暮らしの厳しさは到底語ることも出来ませんが、集落の無事と、その年の豊作を願いながら、行事や祭りを通してその団結は培われてきたことと想像します。
 
秋田の旅を通して温かく迎えてくれた友人や出会った人達から受けたのは郷土を愛し、仲間を想う誇りと人情でした。 民俗文化は、そこでの暮らしの中で「人」を介して継承されていきます。 受け継ぐ「人」があっての財産。 それらを育み、支えているのはまさしく草の根の郷土愛と人情、そんな風に感じました。