
<渥美半島に暮らす>
-茹でたてに勝る麺はなし-
コシがあり、モチモチとして自然な味わいが魅力のみうらや製麺の麺が美味し い理由は、 国産小麦へのこだわりと、何と言っても生地の「練り」と 「熟成」にあるとのこと。 大きな工場では、 この作業は手間と時間がかかるために省かれてしまうことも多いこの工程を、みうらや製麺では最も大切に行っています。 それが出来るのも、 この地で商売をしていく姿勢を貫いているからこそ。 生産規模と地域密着であることを考え、安さを売りにする商戦に参加せずに、ここならではの魅力ある商品を作り続けています。
みうらや製麺
愛知県田原市保美町仲新古38番地の2
http://miurayaseimen.com
TEL0531-32-0153
<文化・アート>
-超絶技巧の組子細工職人
川口木工所(田原市小中山町)
川口秀丸さん 川口博敬さん
仕上げられた繊細な作品は、まるで万華鏡を覗いた世界のようでもあり、完璧なまでの緻密な造形にため息が出ます。 薄いもので0.6mmにもなる切り出した木片に、特殊な道具で切り込みやホゾ、角度を付けてパーツを作り、全体を組み上げていくと言う工程。 その細かい作業の中で、0.1mm寸法が違うだけで、仕上がりの全体のバランスが崩れてしまいます。 「麻の葉」、「梅鉢」、「二重籠目」、「胡麻柄」 など、作られる伝統の組子細工模様は200種類以上あるとのこと。
組子細工は、文化として渥美地方に昔からあったわけではありませんでした。 父の秀丸さんと組子細工との出会いは、秀丸さんが中学を卒業後に建具屋の職に就き、その修行をしていく中、ある技術検定の審査会場で秀丸さんの腕前を見た審査員が、秀丸さんに組子細工の道を勧めたことがきっかけだったそうです。
「高みに登る」ことは、挑戦するかしないかを決めること
以後、初めは専門の道具もままならない環境で、独学でひたすらに技を磨いてきたそうです。 そしてついに秀丸さんはS63年に全国建具展示会で内閣総理大臣賞を受賞。 記者の人たちが大勢訪れるなど、その様子を見ていた博敬さんは 「自分も日本一の組子細工職人になりたい。」 とこの道を志すことを決めました。
「他人の到達出来ないところへ。」 この想いを力にしてここまで歩み、「挑み続けることが喜びであった。」 と父、秀丸さん。 「高みに登るということ。 何事においてもその山に登るか登らないかは、出来るかどうかということよりも、挑戦するかしないかを決めることです。」 と、穏やかさと強さの両方を宿したような語り口で話します。 それは、「自分を信じる」 ということだと、話を聞きながら感じました。 一人前になるのに10年はかかるという組子細工の道を志し、父の背中を見ながら一心に技を磨き続け、博敬さんは日本一の職人となりました。 「厳しい父ではありませんでした。」 と語る博敬さん。 秀丸さんの 「自分を信じる」 心が「相手を信じて待つ」という人の育成の姿勢に繋がっていることを、博敬さんの技術と真っ直ぐで力強い眼差しから感じられます。
親子二代の技と心はさらに、博敬さんの中学生になる二人の息子さんにも受け継がれようとしています。 途方もない時間と情熱をかけた修練から生まれる 美しい組子細工の世界に、すっかり魅了されました。
川口木工所
愛知県田原市小中山町北浜新田6−5
http://mokkouzyo.web.fc2.com
TEL0531-32-1011
「農」という循環の暮らし
循環農法とは、人・動物・糞尿・微生物・土・植物が循環しながら互いの存在を肯定する農法であり、その輪には「ゴミ」というものはありません。 そしてまたそれは、人にとって暮らしそのものだと感じます。 農業と自然環境の両立を考える上で大事なのは「人」だと、豆野さんは話します。 身近な人を尊重し、大事に思うその循環に、環境への意識や美味しい食べ物が自然にあるということ。
取材を終え、数日後に届いた目が覚めるようなとびきり美味しい野菜を料理し、いただくうちに、「循環」という視点で私自身の生活を度々振り返るようになりました。 自分はどんな循環の中で、周りに何が出来ているのだろうか、未来に私は何を残したいのだろうか、と。
2018年に施行された種子法廃止により、「種」を巡る世界情勢が大きく変化しようとしています。 固定種、在来種の作物を育てる農家の多くが危機感を感じている中で、先ずは種のことを知り、繋いだ種から食べ物が作られることの大切さを学ぶことから。
農作業の様子はもちろん、WWOOFホストとして世界各地からのウーファーを受け入れたり、採れた作物で作る料理など、豆野さんの暮らしの日常は、開催する食育ワークショップやホームページのブログなどで発信されています。
豆に暮らす野の暮らし研究所
〒441-3503 愛知県田原市若見町土手の内43
TEL090-1533-0413(豆野)
ホームページ
◼︎「循環農法野菜セット」の詳細はホームページまで。
この「西馬音内の盆踊り」の他にも「竿灯祭り」、「なまはげ」や「かまくら」 などの四季折々の祭りと年中行事、伝統芸能が秋田県には多く残り、その豊富さと特殊性は重要無形文化財として16件も登録される(全国1位)など、他の県と比べても飛び抜けています。
これほどまでに多様で多くの伝統が残されている理由には、どんな背景があるのでしょうか。それは、「共同体の結束」 として、集落での助け合いの意識を守るためではないかと言われています。 雪国という厳しい環境の中で、人々は助け合い、団結する心が自然に求められました。 雪掻きの経験もなく、雪は年に一度降るか降らぬかの温暖な渥美半島に暮らす私には、雪国の暮らしの厳しさは到底語ることも出来ませんが、集落の無事と、その年の豊作を願いながら、行事や祭りを通してその団結は培われてきたことと想像します。
秋田の旅を通して温かく迎えてくれた友人や出会った人達から受けたのは郷土を愛し、仲間を想う誇りと人情でした。 民俗文化は、そこでの暮らしの中で「人」を介して継承されていきます。 受け継ぐ「人」があっての財産。 それらを育み、支えているのはまさしく草の根の郷土愛と人情、そんな風に感じました。
books and arts -窓を開けて星と語る-
hakobuneから紹介する本・アート・学び
この本が伝えているのは、癌を発病したレイチェルが、死の間際に残したメッセージ。それは、子供達の心に「センス オブ ワンダー」(神秘さや不思議さに目を見張る感性)を育むことの大切さでした。夜空の星の輝き、植物の芽吹きや潮の満ち引き・・・当たり前に思えるような目の前の現象は、かけがえのない命の輝きと自然の神秘に満ちていることをあらためて気付かせてくれます。レチェルの信念が美しく詩情豊かな文体となり、いつまでも心に残ります。
「センス オブ ワンダー」
著者 / レイチェル・カーソン
訳 / 上遠恵子
Text and Editing_Masami Araki / Myoujou Library
photo_Koshi Asano / Office Presence