川口木工所 -超絶技巧の組子細工職人 –


<文化・アート>

川口木工所

 -超絶技巧の組子細工職人


 

川口木工所(田原市小中山町) 
川口秀丸さん 川口博敬さん
 

 
 「川口木工所」の川口博敬さんは田原市小中山町在住の組子細工職人。父親の秀丸さんがこの地で始めた組子細工の技を受け継ぐ二代目。その技術は、H27年の全国建具展示会で日本一と認められる内閣総理大臣賞を受賞するほどの腕前です。この賞は父秀丸さんも過去に受賞し、親子二代による受賞は日本でも初めてのことだそうです。
 日本の伝統建築である和室にその機能においても美観においても、欠かせないのが木製建具。 組子細工とは、障子や欄間、 襖、などの建具の一部に施された装飾で、木工技術の中でも最も高度な手業が必要な伝統工芸。 その技術は日本独特のもので、小さく切り出した木片を釘を一切使わずに、日本伝統の幾何学模様を立体的に規則正しく組み上げ、建具全体として一つの美しい模様を作り出します。

仕上げられた繊細な作品は、まるで万華鏡を覗いた世界のようでもあり、完璧なまでの緻密な造形にため息が出ます。 薄いもので0.6mmにもなる切り出した木片に、特殊な道具で切り込みやホゾ、角度を付けてパーツを作り、全体を組み上げていくと言う工程。 その細かい作業の中で、0.1mm寸法が違うだけで、仕上がりの全体のバランスが崩れてしまいます。 「麻の葉」、「梅鉢」、「二重籠目」、「胡麻柄」 など、作られる伝統の組子細工模様は200種類以上あるとのこと。

組子細工は、文化として渥美地方に昔からあったわけではありませんでした。 父の秀丸さんと組子細工との出会いは、秀丸さんが中学を卒業後に建具屋の職に就き、その修行をしていく中、ある技術検定の審査会場で秀丸さんの腕前を見た審査員が、秀丸さんに組子細工の道を勧めたことがきっかけだったそうです。

「高みに登る」ことは、挑戦するかしないかを決めること
 

 以後、初めは専門の道具もままならない環境で、独学でひたすらに技を磨いてきたそうです。 そしてついに秀丸さんはS63年に全国建具展示会で内閣総理大臣賞を受賞。 記者の人たちが大勢訪れるなど、その様子を見ていた博敬さんは 「自分も日本一の組子細工職人になりたい。」 とこの道を志すことを決めました。
 


 

 

 「他人の到達出来ないところへ。」 この想いを力にしてここまで歩み、「挑み続けることが喜びであった。」 と父、秀丸さん。 「高みに登るということ。 何事においてもその山に登るか登らないかは、出来るかどうかということよりも、挑戦するかしないかを決めることです。」 と、穏やかさと強さの両方を宿したような語り口で話します。 それは、「自分を信じる」 ということだと、話を聞きながら感じました。 一人前になるのに10年はかかるという組子細工の道を志し、父の背中を見ながら一心に技を磨き続け、博敬さんは日本一の職人となりました。 「厳しい父ではありませんでした。」 と語る博敬さん。 秀丸さんの 「自分を信じる」 心が「相手を信じて待つ」という人の育成の姿勢に繋がっていることを、博敬さんの技術と真っ直ぐで力強い眼差しから感じられます。
 
親子二代の技と心はさらに、博敬さんの中学生になる二人の息子さんにも受け継がれようとしています。 途方もない時間と情熱をかけた修練から生まれる 美しい組子細工の世界に、すっかり魅了されました。

 


「然るべきところへ」 と、正確に刻まれた
パーツが組まれ、収まってゆく。

 

組子制作に欠かせない特殊な道具の一つ、
「組手作手(くでじゃくり)」。

 
 
 
川口木工所
愛知県田原市小中山町北浜新田6−5
http://mokkouzyo.web.fc2.com
TEL0531-32-1011