絵本「夜の木」朗読と白水ロコ「ユグドラシルの森」



 
現在、明星ライブラリーにて開催中の白水ロコ彫刻展「ユグドラシル〜世界をつかさどる樹〜」。
期間中の催しとしてお届けする、インドの美しい絵本「夜の木」の朗読のご案内です。
 
絵本「夜の木」朗読と、ユグドラシルの森

・日時   6月18日(日) 14:00〜
・場所   明星ライブラリー
・参加費  無 料
・朗読   荒木正美

芸術は日々の祈り。
美しい絵を見る人には幸運が訪れる、とゴンドの人は信じているそうだ。
/ 「夜の木」通信(タムラ堂)より

黒く染められた手漉きの紙に、鮮やかで深い色合いの様々な樹木と神話のような言葉が刻まれたこの絵本は「夜の木」(英語版原書では「The Night Life of Trees」)というインドの
「タラブックス」という小さな出版社が作るシルクスクリーンによる手製の本。

2008年のボローニャ・ブックフェアで出会い、この絵本に魅了された日本のタムラ堂さんが2012年に真摯な思いで日本語版の出版を叶えたものです。

この度、「タムラ堂」さんのご協力により、ロコさんの展示空間で「夜の木」のご紹介と朗読をさせていたく機会を嬉しく思います。

その制作工程の在り方により、とても希少なこの絵本。縁あって私の手元にやってきた「夜の木」は第5版目のもので、日本語版として2000冊が刷られた内の1冊です。

中央インドのゴンド族の3人の芸術家によって描かれた木を巡る神秘的な世界。

自然観と動物や精霊、土地に伝わる神話を芸術としてかたちにするゴンドの人々にとって芸術は、日々の祈りのように生活と結びついているそうです。

インド、チェンナイの「タラブックス」の工房で、古布を原材料とした黒い手漉きの紙に一枚ずつシルクスクリーンの技法で刷られたページはそれぞれが本物の版画作品です。

製本も手作業、表紙は手張り、ページをめくる度に現れる神秘的で美しい樹とインクの匂い。

絵本の中の19本の樹とゴンドの心が、全て人の手によって丁寧に紡がれ、美しい「絵本」として結ばれています。

楠の木から彫られる鮮やかで幻想的なロコさんの彫刻作品と、まるでその根の奥で親しく繋がっているような「夜の木」のお話をお楽しみくださいませ。