行われるはずだった酒井 薫さんの個展に寄せて
「prayer room」
私たちの生活が祈りだなんて 大げさだろうか
油彩画家、酒井 薫さんの個展が今年5月、名古屋市のGALLERY MARQUISEで開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期となりました。
私は酒井さんの約2年前の個展のDM制作がご縁で、今回の個展のDMも制作を担当させていただいておりました。
先週、酒井さんから私の手元に届いたそのDMは、半透明のテープが貼られた「個展開催延期のお知らせ」としてのハガキ。
作品画像の上の白いテープが包帯のようにも見えて、開催されるはずだった時間が寂しそうに痛みをこらえているように思えます。
今回の個展に向けて真摯に制作を重ねていらっしゃったので、酒井さんにとってはとても残念なことだと気持ちを想像します。
個展は延期となりましたが、”開催されるはずだった個展「prayer room」における作品の気配を少しでも感じてもらえたら”という思いから、酒井さんが自身の「note」のページに、作品にまつわる想いを、徒然日記のような形で連載しています。
日常の中で、何でもなさそうに見えて、ふとすると見逃してしまいがちな、本当は誰もが心のどこかで感じているような「違和感」や「奇跡」。酒井さんが立ち止まって見つめ、考えを巡らせることで、読む側もその世界の存在に気付かされ、思わずハッっとします。きっと、行われるはずだった作品の展示からもそのような扉がいくつも開いていたことでしょう。